Q7. 切り替えても効果はこれまで通り得られる?

先発医薬品からジェネリック医薬品に切り替えたところ、それまで得られた効果が得られなくなったことがあった。どうしてそのようなことが起こるのか。

A7
医療現場から、先発医薬品からジェネリック医薬品に切り替えた場合、あるいは逆に、ジェネリック医薬品から先発医薬品に切り替えた場合に、それまで得られた効果が得られなくなったとの報告がなされることがあります。これらは、いわゆるプラセボ効果や切り替え効果によるケースもあると思われますが、いずれにしても、こうした事例については、「ジェネリック医薬品品質情報検討会」における科学的な検証の対象となり得ます。

ジェネリック医薬品は、承認審査の際に、品質、有効性及び安全性において先発医薬品と同等であることが確認されています。

しかし、医療現場において、患者さんが服用する医薬品を先発医薬品からジェネリック医薬品に切り替えたとき、あるいは、逆にジェネリック医薬品から先発医薬品に切り替えたときに、それまで得られていた医薬品の効果が得られなくなった経験をお持ちの医療関係者がいらっしゃることも事実です。

こうした事象が起こる原因として、まず、「プラセボ効果」のような心理的な要因が考えられます。「プラセボ」とは、本物の医薬品に似せた、医薬品として効果を発揮する成分が含まれていない偽薬のことを指します。偽薬であっても、医薬品だと信じて服用することによって、効果が現れることがあります(※11)。また、同じ偽薬を使った場合でも、高価な医薬品だと思い込んで服用した被験者と安い医薬品だと思い込んで服用した被験者とで効果を比較したところ、前者に対して高い効果が現れ、後者に対する効果は低かったという研究データもあります(※12)

このような心理的な面を考えると、ジェネリック医薬品に不安を感じる患者さんにとっては、先発医薬品をジェネリック医薬品に切り替えると十分な効果が得られなくなることも起こり得ます。こうした不安を患者さんに与えないようにする配慮も、医療関係者には必要かもしれません。

一方、先発医薬品を継続して服用する患者さんにも、症状の悪化や医薬品に対する耐性獲得の結果、徐々に十分な効果が得られなくなることがあります(※13)。たまたまこのタイミングでジェネリック医薬品に切り替えた場合には、切り替えたことによって効果が滅弱したと認識されることが起こり得ます。

しかしながら、こうした要因ではなく医薬品そのものに問題がある可能性も、必ずしも否定することはできません。こうした事象については、当該ジェネリック医薬品についてあらためて品質試験を行うなどの丁寧な対応が求められます。

そこで、PMDAの「ジェネリック医薬品相談窓口」(くすり相談窓口)(※14)に寄せられた医療関係者からの意見や質問、あるいは、学会発表や学術論文に掲載されたジェネリック医薬品に関する問題事例のうち、科学的な検証が必要なものについて、NIHSに設置された「ジェネリック医薬品品質情報検討会」において、必要に応じて公的機関で実際に品質等の試験を実施することにより、学術的な検討を行っています(図表2参照)。

この検討会は、平成20年7月以降、平成27年1月末時点で計13回開催されており、検討会に提出された資料や議事概要は、ホームページを通じてご覧になることができます(※15)。また、PMDAの「PMDAメディナビ」(※16)においても、検討会の結果概要等の情報発信を行っているところです。さらには、情報提供の複線化を目指して、平成26年4月から厚生労働省医薬食品局審査管理課が「後発医薬品品質情報」を発刊し、検討会の議事概要のほかジェネリック医薬品の品質に関する情報提供を開始しています。

患者さんや医療関係者がジェネリック医薬品を安心して使っていただくために、行政としてもこうした取組を通じて、ジェネリック医薬品の信頼性の向上に努めています。

図表2 品質に関する懸念に対する科学的検証のスキーム

(※11)
新薬の開発時に行われる治験においては、プラセボを投与した患者と治験薬を投与した患者とで効果の現れ方を比較し、その統計学的な差異に基づいて治験薬の有効性を評価するといった手法が取られます。


(※12)
R.L.Waber, B.Shiv, Z.Carmon, et.al., Commercial Features of Placebo and Therapeutic Efficacy. JAMA, 299, 1016-1017 (2008)


(※13)
こうした事例については
Byrne and Rothschild. Loss of antidepressant efficacy during maintenance therapy: possible mechanisms and treatments. J Clin Psychiatry. 1998;59(6):279-88
Randomised study of antiepileptic drug withdrawal in patients in remission. Medical Research Council Antiepileptic Drug Withdrawal Study Group. Lancet. 1991;337(8751):1175-80
などの研究論文で指摘されています。


(※14)
PMDAの「ジェネリック医薬品相談窓口」(くすり相談窓口)
受付時間:月曜日~金曜日(祝日・年末年始を除く)午前9時~午後5時
電話番号:03-3506-9457


(※15)
NIHSのホームページ
http://www.nihs.go.jp/index-j.html

またはPMDAのホームページ
https://www.pmda.go.jp/

から過去の資料や議事概要をご覧になることができます。


(※16)
PMDAの医薬品医療機器情報配信サービス(PMDAメディナビ)
登録いただいた方に最新の使用上の注意の改訂内容など医薬品・医療機器の安全性情報等を迅速に配信するサービス
https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/medi-navi/0006.html

ジェネリック医薬品への疑問に答えます ~ジェネリック医薬品Q&A~(厚生労働省:平成27年2月版)」をもとにニプロESファーマ株式会社作成

Q&A一覧へ戻る

当サイトに含まれている文書・写真・イラスト等の利用については、ご利用規約をご覧ください。


ADOBE® READER® をダウンロード

PDFファイルの閲覧にはADOBE® READER® のインストールが必要となります。

Adobe社のサイトより無償でダウンロードすることができます。

最新のADOBE® READER® をダウンロードする。

Copyright © 2017 NIPRO ES PHARMA. All Rights Reserved.