Q4. 注射剤で臨床試験なし?

注射剤については、承認審査の際に臨床試験(生物学的同等性試験)のデータを求めていないにもかかわらず、なぜ、同等と言えるのか。

A4
通常、医薬品の効果や副作用は、有効成分の血中濃度に従って発現しますので、経口剤などでは吸収された後の血中濃度が先発医薬品と同様の挙動を示しているかどうかを確認するため生物学的同等性試験を行う必要があります。
しかしながら、有効成分が完全に溶解した注射剤で、血管内に投与するものについては、血中濃度の推移を変化させる要因がそもそも存在しないため、生物学的同等性試験を行う必要はありません。

ジェネリック医薬品の承認にあたっては、基本的には生物学的同等性試験のデータが必要となりますが、有効成分が完全に溶解した注射剤で、血管内に直接投与する医薬品については、生物学的同等性試験の実施は不要と考えます。

通常、医薬品の効果や副作用は、有効成分の血中濃度に従って発現することになります(※6)。そのため、先発医薬品と同じ有効成分のジェネリック医薬品は、先発医薬品と同様の血中濃度推移であることが求められます。

しかし、有効成分を均一に溶解させた医薬品を血管内に直接投与する注射剤の場合は、血中濃度の推移を変化させる要因が存在せず、血管内に投与さえすれば例外なく先発医薬品もジェネリック医薬品も同様の挙動を示すため、血中濃度を測定する必要はありません。含量試験、不純物試験、浸透圧・pHなどの試験及び安定性試験等によって品質が担保されれば、先発医薬品と同等であるということができます。

一方、医薬品を血管外の部位に投与する場合や懸濁剤を血液内等に投与する場合には、有効成分が効果・作用を発揮するためには製剤から放出されて血液内に移行することが必要になりますが、製剤の特性によってその過程は変化する可能性があり、結果として、有効成分の血中濃度がジェネリック医薬品と先発医薬品で異なることがあり得ます。

そのため、血管外に投与するジェネリック医薬品や懸濁剤が先発医薬品と同等であるかどうかを確認するためには、血中濃度が先発医薬品と同様の挙動を示しているかどうかを調べなければならないので、生物学的同等性試験を行う必要があります。

(※6)
全身作用を期待する医薬品では、有効成分は血液を介して作用発現部位に運ばれ、作用を発現します。血液を介さずに作用発現部位に到達することはありません。そのため、血液中の有効成分濃度に従って医薬品の効果や副作用は発現すると捉えることができるとされています。
なお、治療薬物モニタリング(TDM)は、この考え方に基づき、薬物の血中濃度を測定することで薬効の指標としているところです。

ジェネリック医薬品への疑問に答えます ~ジェネリック医薬品Q&A~(厚生労働省:平成27年2月版)」をもとにニプロESファーマ株式会社作成

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