Q2. 有効性・安全性は?

ジェネリック医薬品の承認審査の際に求められる試験項目は、先発医薬品(新薬)の場合と比べて非常に少ない。だから、ジェネリック医薬品は、先発医薬品と比べて有効性や安全性の面で劣るのではないか。

A2
ジェネリック医薬品の審査の際に省略される試験項目は、先発医薬品において既に確認済の内容であり、試験項目が先発医薬品と比べて少なくても、先発医薬品と同等の有効性や安全性を有すると判断することができます。これは、米国や欧州の各国でも同様であり、最新の科学的知見に基づく世界標準の考え方です。

医薬品の有効性、安全性を確認するために必要となる試験項目は、「有効成分に関する試験」と「製剤化された医薬品に関する試験」の大きく2つに分けられます。

先発医薬品の承認審査の際には、毒性試験や薬理作用の試験及び治験と呼ばれる臨床試験等により、その医薬品の有効成分と製剤の有効性や安全性の確認がなされています。一方、ジェネリック医薬品については、添加剤は異なるものの、有効成分そのものは先発医薬品と同じですので、有効成分の有効性や安全性は、こうした「有効成分に関する試験」や、先発医薬品の市販後調査のデータにより、既に確認がなされています。

あとは「製剤化された医薬品に関する試験」のデータにより、先発医薬品と同じ有効成分を同一量含有するジェネリック医薬品が、先発医薬品と同様の血中濃度推移を示すことが確認できれば、医薬品としての作用の強さや影響は同じということになり、治療効果すなわち有効性や安全性は、先発医薬品と同等であると判断することができます。この判断を行うための試験が、生物学的同等性試験です(Q1参照)。

このように、ジェネリック医薬品の試験項目が先発医薬品と比べて少なくても、先発医薬品と同等の有効性や安全性を有すると判断することができます。こうした考え方は日本だけのものではなく、米国や欧州の各国でも同様であり(※4)、最新の科学的知見に基づく世界標準の考え方です。

また、先発医薬品であっても、ジェネリック医薬品の承認基準が適用される場合があります。例えば、添加剤を変更する際や、口腔内崩壊錠などを追加で上市する際に必要となる承認審査においては、「有効成分が同じで添加剤が変わる」という位置づけであり、求められる試験項目および基準は、ジェネリック医薬品と同じです。

ジェネリック医薬品の承認審査の際に求められる試験項目が先発医薬品よりも少ないことから、その品質等が不安だと指摘されることがありますが、もし本当に承認審査の際に求められる試験項目に問題があるとすれば、ジェネリック医薬品の承認基準によって承認された先発医薬品についても問題があることになります。ジェネリック医薬品の試験項目が少ないことに問題があるというのは全くの誤解であり、先発医薬品とジェネリック医薬品のどちらも、有効性や安全性が確認されたもののみが承認されているのです。

(※4)
FDA(アメリカ食品医薬品局) : Guidance for Industry: Bioavailability and Bioequivalence Studies for Orally Administered Drug Products-General Considerations, March 2003

http://www.fda.gov/ohrms/dockets/ac/03/briefing/3995B1_07_GFI-BioAvail-BioEquiv.pdf


EMA(欧州医薬品庁) : Guideline on the Investigation of Bioequivalence, January 2010

http://www.emea.europa.eu/docs/en_GB/document_library/Scientific_guideline/2010/01/WC500070039.pdf

ジェネリック医薬品への疑問に答えます ~ジェネリック医薬品Q&A~(厚生労働省:平成27年2月版)」をもとにニプロESファーマ株式会社作成

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