日本最北の中核都市に根ざして40年
在宅医療のエキスパートが巻き起こす新しい風

「中央薬局」北海道旭川市/長塚健太氏

一次予防に必要な薬局薬剤師の視点

 長塚さんは健康サポートに関する業務において、一次予防については特に2つの視点を意識しています。

① モニタリングの視点

継続的なモニタリングは潜在ニーズの発見に不可欠です。モニタリングによるニーズの発掘は、今の身体状態をご自身で知り、気付いていただくために有用です。

② ヘルスリテラシー向上の視点

長塚さんは、地域におけるヘルスリテラシー向上の必要性を一次予防の観点で特に実感していると言います。啓発と主体的な健康増進にむけた行動変容への支援こそが薬局での一次予防の本質といえるかもしれません。

一次予防に資する健康サポートの実際

 長塚さんが取組む実際の活動は、糖尿病予防、健診の受診勧奨、子宮頸がん自己検査キットの取扱い、検体測定、健康イベントの実施と多岐にわたりますが、一例として口腔ケアの推進を紹介します。

【口腔ケアの推進】

 一次予防において特に重要な「万病の元である歯周病」の予防。口腔ケアを通じて口腔環境を良好に保つことはそのための大切な取組みです。
 例えば口渇は口腔環境を悪化させる一要因で、薬学の観点からは700種類以上の薬剤が口渇の原因となる可能性があり、注意が必要です。長塚さんはさらに一歩踏み込み、同じく口渇の原因となる「口呼吸」を鼻呼吸へ移行させることを目指した「あいうべ体操」を推進しています。

薬局で口腔ケアの説明に使用する模型
「あ」「い」「う」「べ」と口を動かす動きを食後に10回、1日3分を目安に続けることで徐々に舌の位置を変え、口呼吸から鼻呼吸に移行させる
例:きらきら星で「あ、あ、い、い、う、う、べー」と1周歌うと12回、3周歌うと36回できる