薬局内に本格的な運動器具を揃えて健康寿命延伸に貢献

「あしかが薬局」山形県山形市/高橋善三氏

健康に貢献する新たな薬局の存在感を次世代へ

薬局のスタッフは長年勤めているベテランばかりのため、「スタッフとの会話を目的に来られるような方も多い」そうです。健康サポート薬局認定を受けてからは月に一度、薬局内のテーブルを会場にお茶菓子代の実費100円で交流を図る『あしかが健康サロン』も開催するようになりました。「薬局まで歩いて来られるお年寄りが主体ですが、毎月10人ほどが集まって健康の話をしたり、元気クラブの運動を体験してもらっています」。

また健康サポート薬局としての知名度の広がりに応じ、自治体が行う健康イベントや高齢者のサークル活動にも元気クラブでの運動が組み込まれるようにもなるなど、高橋氏は地域における薬局の位置付けの変化にも手応えを掴みつつあります。「薬局は治療や体調不良といったことが無ければ来づらいところですが、日頃の健康支援を行うには気軽に足を運べる場所でなければなりません。病気になったから行くところではなく、健康維持のために定期的に運動や会話、交流を目的に訪れる存在となっていくことが理想です」。

薬局内に本格的な健康器具を揃えることは相当な経営判断と言えますが、高橋氏は「ビジネスの多くは『モノからコト』へ移っています。物販はドラッグストアに敵うわけがないですし、その意味でも地域の薬局は健康という“コト”の部分でどう地域に貢献できるかを突き詰めていくべきではないでしょうか。実際に薬局へ来られる頻度に応じ、信頼や結びつきが増すことは経営面でもプラスになっています」と、時代に応じた経営改革に迷いはありません。

運動支援に続く新たな試みとして、最近は健康的な食生活の提案にも関心を寄せています。「学校薬剤師としても活動するなかで、共働きやシングルマザーといった生活環境で若い人の食事が乱れている状況が目につきます。高齢者はもちろん、若い人や子どもたちの食生活も将来の生活習慣病対策を見据えた課題になると感じます」。

健康サポート薬局として新たな展開に乗り出し始めた2018年春には、5代目を担う長男の善太氏が薬剤師として薬局に加わり、まさに老舗の歴史を次世代に引き継ぐ状況ともなっています。「私の背中は見てくれていると思いますし、おいおい先のことは彼に任せていきたいと思っています」と、高橋氏は確かな薬局の将来に期待を寄せています。

(取材実施:2018年11月)
編集:薬局新聞社