薬局における薬剤師の可能性を模索し、常に地域の患者・利用者と寄り添う健康支援の拠点

「つちばし薬局」 高知県高知市/藤原英憲氏

県をあげての「健康づくり事業」にも参加

 高知県は特に男性の健康寿命が全国平均よりも低く、健康寿命の延伸が喫緊の課題となっています。そこで、健康づくりを地域全体で推し進めようと県をあげて『高知家健康パスポート事業』(有効期限2019年3月31日)を展開しています。20歳以上の県民であれば、誰でも参加でき、所定の条件をクリアして発行される「ヘルシーポイント」3枚を申請用紙に貼付し、7項目の健康宣言のいずれかをチェックすれば、県から健康パスポートが交付され、参加施設で特典が受けられる仕組みです。つちばし薬局をはじめ、市内の多くの薬局が高知県の認定している『高知家健康づくり支援薬局』としても参加しており、薬局が地域住民の健康支援する役割として期待されています。

 地域住民とともに歩み、様々な健康支援活動にも乗り出している藤原さんですが、今後の展望については厳しい見通しを持っています。「単純に経営だけを考えれば、楽観できないと思っています。それでも先代から受け継いだ『患者・利用者さんから必要な場所』として覚えていただき、『この人なら、この薬局ならなんでも相談できる』という健康支援の拠点であり続けたいです。もちろん願うだけでなく、それに応えられるだけの知識や態度の研鑽を重ねることが全てのベースにあると思います」と、時代の求めに応じられる薬剤師へステップアップすることが重要であると語ります。

 今、つちばし薬局では藤原さんのご息女が店頭に立ち、3代目として伝統を受け継いでおり、新たな世代へのバトンタッチも同時進行で行われています。そこには、明治維新に中心となった先人たちの偉大な業績が息づく高知の薬局としての信念が伝わってくるようです。

(取材実施:2017年4月)
編集:薬局新聞社