地域住民や利用者が頼れる健康相談所として

「清水薬局」東京都港区/清水晴子氏

物を介して生活を見ることができるのが薬剤師

薬局・薬剤師を巡る最近の話題では、規制改革会議による医薬分業に対するコストとメリットの問題があげられます。病院内あるいは院外で調剤する場合の料金の違いや医療費の適正化に与える影響といったことに社会的関心が高まっていることは周知のとおりです。こうした現状にあるからこそ、清水さんが語る薬剤師の役割についても熱い情熱が込められています。「薬局の薬剤師は本来『物を介して生活を見る』ことができる専門家だと思っています。薬はもちろん、衛生材料から健康食品、生活雑貨まで幅広い範囲について化学を通じて考えることができる唯一の医療人ではないでしょうか」。

清水さんは学校薬剤師として子どもたちを対象にしたくすり教育にも携わっているなど、情報過多な現代社会の子どもたちにこそ、気軽に薬剤師に相談することの大切さを教え広めているといいます。自己流で判断するのではなく、気軽に薬局の薬剤師に相談できることを広めることも町の薬剤師の役割であると胸を張ります。

創業から300年を超える老舗店舗が打ち出す姿勢は老舗を守る薬剤師というより、地域の患者さんや生活者のために薬剤師という自分を活用してもらいたいという一心から、むしろ積極的とも言える構えを見せます。その原動力とも言えるのは先代オーナーからの教えでしょう。「求める方がひとりでもいれば、その職能がなくなることはない」。

厳しい意見が少なくない現状だからこそ、目の前の患者さんに全力を注ぐ。老舗薬局が見せる姿は、その歴史が続いてきた証を示しているようです。

(取材実施:2015年4月)
編集:薬局新聞社

家業であることは経営上強みでもあると言います。薬剤師による在宅医療参画の推進に二人三脚で努めてきた清水治さん、両親の意志を受け継ぐご子息・精一郎さんと。