“察すること”“判断すること”の積み重ねで地域住民との信頼を育む

「コスモス薬局」神奈川県川崎市/伊藤啓氏

薬剤師の判断を伝えることの重要性とは

小児科にかかっている子どもに対する配慮も、こうした考えが具体例として反映されています。「お子様に多い問題ですと、最初のハードルになるのは薬を飲んでくれないということです。そこでスタッフにはそれを解決するための4つのプランを用意させ、まずこのうちの一つを提案するように指導しています。そうして次回いらした時に『お薬はどうでしたか』と尋ねて、『うまくいきました』と返ってくれば成功です。もし『上手に飲めなくて…。』と言われたときは次のプランを提案します。重要なのは一度に全部を提示するのではなく、複数の選択肢の中から一つのプランを薬剤師が決定し、患者さんと一緒に取り組むことです」と言います。こうした手順を踏まえることは薬剤師のスキルアップに繋がるだけでなく、子育てで悩むことが多い若い母親にとっては「一緒に問題解決を図ってくれる頼もしい存在になれるのではないでしょうか」と、その相乗効果に手応えを感じています。

 この“薬剤師が決定する”というプロセスに、伊藤さんの薬剤師としてのこだわりが詰まっています。