“察すること”“判断すること”の積み重ねで地域住民との信頼を育む

「コスモス薬局」神奈川県川崎市/伊藤啓氏

神奈川県川崎市宮前区は都心までのアクセスの良さから発展してきたベッドタウンで、比較的若い世帯も多い町です。生活の利便性に加えて豊かな自然が数多く残っており、少子化問題が嘘のように子どもたちの笑顔が溢れる住宅地に、コスモス薬局は店舗を構えています。

地域を反映するように、薬局に訪れる利用者は小児科および整形外科の患者さんが中心となっています。入口脇に設置されたベビーベッドは、新生児を抱えて来局する利用者の苦労を察してスタッフが設置したものですと、薬局の代表取締役である伊藤啓さんは語ります。

コスモス薬局では、このように患者さんを見て“察する”ことの重要性に着目しており、「薬局に入ってきた瞬間から患者さんをきちんと確認しなさいとスタッフに指導しています」と伊藤さんは言います。例えば服薬指導の際でも、「薬だけを見つめながら通り一遍に話すのではなく、患者さんの目線や頷き具合を確認しながら服薬指導をするように教えています。目線を交わしながら説明をするほうが、患者さんにも印象が残りますし、伝わる情報も多いですから」。

このような姿勢は伊藤さんが経営者になったときから心掛けていたことで、「私自身が患者さんの立場で薬局を考えたとき“同じ薬をもらうのであれば何を選択としてそこに行くのか”を重視しました。そこが取り組みの原点です。患者さんやお客さんが望む情報をどれだけ感じ取ることができるかが大きなテーマでした」と振り返ります。「薬局を利用している多くの方の中で、聞きたいと思っていることを聞ける人はごくわずかしかいないのではないでしょうか。『聞きたいけど薬剤師さんは忙しそうだし』と思って遠慮している方が大半のはずです。こうした患者さんの聞きたそうな雰囲気を察して『どうかなさいましたか』と自然と声をかけてあげるべきです」と話し、“かゆいところに手が届く薬剤師”でありたいと言います。