「日本一“笑顔”を描く薬屋さん」目指し、一人ひとりの健康支援に尽力

「くすりのフジ 隈之城店」鹿児島県薩摩川内市/藤井佑輔氏

ダイエット相談を核にした健康相談とコミュニケーション環境を重視

藤井氏は身近な健康相談のなかでも、ダイエット相談を前面に打ち出しています。ダイエットは女性や中年層に関心が高いのはもちろん、肥満は生活習慣病の根本原因の1つでもあります。「特に高血圧などの疾患では、痩せるだけで薬を飲まなくて済んだり、量を減らせることもあります。一方で食生活や身体作りが伴っていないと、いくら薬物治療を続けても健康にはなりません。ダイエットを通じて日頃から健康を意識してもらうことで多くの悩みを解決できると思います」と、薬店の薬剤師による身近な健康支援の可能性を指摘します。

痩身プログラムの研修を受講するなど、自身の指導スキルを磨きつつ、相談者の状態や生活、食事内容などに合わせた丁寧な相談対応を続けるなかで、藤井氏なりの指導方法が確立してきたといいます。「明らかに摂取カロリー過多な人には食事代替食品などを薦めますが、詳しく聞くと『食べ過ぎている』と思っている人ほど、むしろ『朝はお菓子・昼はサンドイッチ・夜はパスタ』など、代謝の悪い偏った食事内容の人が目立ちます。そういう人は『おかずは必要ですよね』と、少しアドバイスをさせて頂くだけで、体調がよくなることもあります」。

初回の予約相談では実に1時間半もの時間をかけ、場合によっては趣味や家族のことまで細かく話を聞いて情報を引き出すように努めています。また、相談中はリラックスして話してもらえるよう「相談者に最低3回は笑ってもらう」ことを意識しているそうです。得意の絵心を活かしてダイエットの“あるあるネタ”を面白おかしくイラストで表現したり、キャラクター化した自身をPOPやチラシに登場させて親しみやすさをアピール。毎月、季節の健康情報とともにスタッフの近況を報告するDMを配信し、ホームページやブログでも漫画や動画を駆使するなど趣向を凝らした定期的な情報発信を図るなど、顧客向けのコミュニケーションを重視しています。

「専門家目線で食事指導を強制したり、堅苦しい話ばかりではかえってお客さんの負担になり、健康的なダイエットには逆効果です。『あなたはサプリメントで補うほうが良い』『保健薬や健康食品で地道に体質を改善してみては』」と、それぞれの人に応じた提案を行うようにしています。「最初の段階でほんの少しでも結果があらわれたり、薬剤師側も一緒になって目標を共有し成果を喜んであげれば、お客さんも前向きに取り組んでくれます」と藤井氏。冒頭で紹介した似顔絵は、目標に達したときに「達成賞」の賞状とともに贈られるものです。「今も3人ほど描かなければならない似顔絵が溜まっているのですが、描きながら我ながら『何の仕事をしているのだろう』と感じてしまう瞬間もありますね」。そう冗談交じりに語りますが、似顔絵の数はお客さんの薬店への信頼の証に他なりません。「お客さんに元気で笑顔になってもらうのは薬剤師としても本当に嬉しい瞬間。僕自身の大きな達成感とやりがいに繋がっています」と、藤井氏も笑顔を浮かべます。