「日本一“笑顔”を描く薬屋さん」目指し、一人ひとりの健康支援に尽力

「くすりのフジ 隈之城店」鹿児島県薩摩川内市/藤井佑輔氏

慶長年間(1596~1615年)に端を発し、400年以上の歴史と伝統を持つ大綱引きの祭事で有名な鹿児島県薩摩川内市。その郊外の幹線道路沿いに店舗を構える『くすりのフジ隈之城店』の店内には、味わい深い似顔絵が数多く飾られています。

「子どもの頃から絵が好きで、よく学校の先生などの似顔絵を描いていました。他の薬局に勤めていた時に馴染みのお客さんを描いて喜ばれたことをきっかけに、当店で悩みが解決したり健康になったお客さんに似顔絵を贈らせてもらうようになりました」と、店長の藤井佑輔氏は言います。似顔絵は全て店のお客さんで、その笑顔一つひとつが健康相談の成果です。また藤井氏の「日本一似顔絵を描く薬屋さんになろう」との思いの表れでもあります。

コンビニだった物件をそのまま生かした店内は、カウンター周りと中央の陳列台で保健薬を中心とするOTC薬や健康食品、サプリメントを提案する必要最小限の品揃えです。その代わり、落ち着いて話ができる大きなテーブルと椅子、親子連れに対応した子ども用プレイスペース、プライバシーに配慮した相談室と肌のお手入れコーナーを店の奥に設けるといったように、健康に関する相談を受け付けるカウンセリング空間に特化した店作りが目を引きます。

藤井氏はJR川内駅前で60年以上続くフジ薬局の3代目にあたりますが、その取り組みはお父さまが社長を務める本店の経営方針から完全に独立しています。薬剤師になって数年間は関東の薬局やドラッグストアに勤務、結婚を機に27歳で家業に戻って2年ほどショッピングセンター内の支店を担当した後、“自分の理想とする薬屋がしたい”と、2014年に開業に踏み切ったのが隈之城店です。「本店が昔ながらの便利な町の薬局なのに対し、僕としては一人ひとりの症状や悩みにじっくり向き合い、全力で解決するための支援を図りたいという思いがあり、あえてこのような相談志向の薬店を開業することにしました」。

象徴的なのが原則予約制を敷く営業形態です。「フラッと来店された人に初対面で『この薬が良いですよ』と提案しても、きちんと飲んでもらえなかったり、時にはアドバイスすら聞いてもらえず、良い薬も効かせられないことを痛感していました。そこで、予約制で十分な時間を取り、『治りたい』『健康になりたい』という強い気持ちを持って相談に来られるような環境を整えようと思うようになりました。」と、藤井氏は健康相談の基本姿勢を語ります。