地域に、人に、全力疾走で健康支援に取り組む姿が、国籍を超えた支持を集める

「ゆうせい薬局」大阪府大阪市/小西明氏

健康サポート薬局として健康情報を地域へ提供する拠点に

ゆうせい薬局は次世代の薬局基準ともいえる『健康サポート薬局』の届出を大阪市内で2店舗目となる速さで完了しています。医療用医薬品(2500品目)から一般用医薬品(1000品目)までの幅広い供給、地域における健康支援活動など、これまで着実に実施してきた取り組みが、健康サポート機能を認める要件と合致しました。さらに在宅医療への参加は、18年前の介護保険制度開始と同時に着手しており、既に20年近い実績を有しています。今でこそ、地域密着のコミュニティ・ファーマシーの重要性が指摘される状況にありますが、20年前は処方箋調剤への対応が業界としても最盛期にあり、在宅医療に参加することに難色を示す薬剤師もいたと振り返ります。小西さんも「時代に乗り遅れた」と笑いますが、そこにも確固たる信念がのぞきます。

「皆がマンツーマン薬局を計画していた時代でしたが、私自身はあまり関心がありませんでした。開業以来ずっと一般用医薬品を提供してきた薬局のオーナーとして、支店を出すことよりも、地域により一層貢献する意識のほうが高かったですね。地域の中に溶けこんだ薬局を作りたいという思いがありました」。

地域の薬剤師・薬局として、先代から継承されるモットーを受け継いで数十年間、常に全力疾走で取り組んできたことにより、国民や時代が求める薬局として最短距離にいたことは、決して偶然ではないでしょう。

ゆうせい薬局は平成30年の年明けに隣接する土地に新店舗を開設しました。新店舗は57坪、調剤室は22坪で旧店舗の約3倍になります。2階部分はセミナーが可能な多目的ルームが複数あり、健康サポート機能に求められる地域への情報発信を行います。キッチンを有した休憩室を兼ねたセミナールームも用意するなど、これまでよりもさらに踏み込んだ展開を見据えています。また、利用者の方だけでなく、薬剤師からも関心度が高いという薬膳やアロマテラピーのセミナー開催も計画中だといいます。

新店舗は敷地面積も広くなり、ガラス張りで清潔感あふれる店構えですが、ティッシュペーパーや日用品などもこれまでと同様に店頭に並べています。「ここはお客さんのニーズで置いている製品ですので、店をリニューアルしても変えるつもりはないです」とあくまでも地域ニーズが第一であると強調する姿からは、昔ながらの入りやすい薬屋さんという経営方針を再確認できます。

今の薬局業界を俯瞰すると、ある種の閉塞感があるように見えるかもしれません。ところが、ゆうせい薬局には新店舗のオープンとともにセミナーや多文化交流企画などが控えており、一種の高揚感が満ちています。どんなことをやろうか、新しい展開を繰り広げようか。新店舗はその舞台として、薬剤師・スタッフ一丸となった前向きな未来を象徴しているようです。

(取材実施:2018年1月)
編集:薬局新聞社