きめ細かな小児対応を起点に町の頼れる薬局として定着

「うさぎ薬局」千葉県船橋市/鳥巣啓子氏

在宅分野も含め地域での幅広い活躍の可能性に手応え

 小さい子どもや母親への対応に力を注ぐ一方で、薬局の近隣に昔ながらの団地が立ち並ぶ土地柄もあって高齢の来局者も多く、在宅患者も徐々に増えていき、現在は20人ほどを担当している状況です。

 在宅業務においては、患者一人ずつ一ケースの「薬品庫」を用意し、薬局で薬を管理するといった取り組みも好評です。もちろん患者や家族の同意は必要ですが、患者宅に多くの薬を置かないようにすることで適切な服用や医療事故の防止につながるとして患者側からも喜ばれているそうです。さらに、薬局が薬剤を預かることで薬の残りも確認でき、薬がなくなる前に適切なタイミングで受診を促すこともできるといった有用性も強調します。

 退院するとヘルパーなどをつけず他人と関わりたがらない患者もいるそうで、そうした方に対しては薬剤師の存在がカギになると鳥巣氏は強調します。「介護を受けたくなかったり、他人から干渉されたくない方でも薬は飲まなければいけないので、その点において薬剤師は患者さんから受け入れられやすいといえます」。それでも最初は玄関すら開けてくれなかったそうですが、懇切丁寧に説明することで少しずつ信頼関係を築いていき、コミュニケーションがとれるようになったところで、訪問看護師などが介入できるようにしていったと話します。こうした成功例をうけ、現在は同様のケースとして別の患者も対応しているそうで、在宅における薬剤師の重要性が窺えるエピソードといえるでしょう。

 開局当初の思いでもあった「小さい子どもをもつ母親が気軽に相談できる薬局」としての取り組みは引き続き力を注いでいくとともに、在宅をはじめとした高齢者への対応も精力的に行うなど、時代の流れやニーズに柔軟に対応していく姿勢で「少しでも薬局を頼って訪れてくれる人たちの助けになれれば」と鳥巣氏。開局からわずか2年半ほどながら、早くも地域のかかりつけ薬局として手応えを掴みつつある状況で、今後もバイタリティー溢れた活動にさらなる期待が寄せられるところです。

(取材実施:2015年11月)
編集:薬局新聞社

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