きめ細かな小児対応を起点に町の頼れる薬局として定着

「うさぎ薬局」千葉県船橋市/鳥巣啓子氏

“相談できる薬剤師”の理想を求めて独立

 千葉県船橋市、JR津田沼駅からほど近い住宅地に『うさぎ薬局』は店舗を構えています。処方箋がなくても気軽に入れる薬局を目指し、あえて医療機関から離れた場所に開局したのが一昨年前。小児に関する充実した取り組みに加え、管理薬剤師である鳥巣啓子氏の人柄もあって、小さい子どもをもつ母親を中心に厚い信頼を獲得している状況が窺えます。

 うさぎ薬局を開局する以前、鳥巣氏は現在の薬局と同じ前原地区にある小児科前の薬局に管理薬剤師として勤務しており、その際に門前薬局での業務に疑問を感じることがあったと振り返ります。「多い日では1日に200枚ほどの処方箋が持ち込まれるため、どうしても薬を早く出すことに力が入ってしまい、十分に服薬指導をする時間がありませんでした。服用方法も含めて、子どもの心配事についてもっと相談したい母親は多いのではないかと感じていました」。

 そうした思いをきっかけに、鳥巣氏は「小さい子どもをもつ母親が気軽に相談できる薬局」を目指して、うさぎ薬局を開局。以前に勤務していた薬局の利用者の中には、数分余計に歩いてでも相談に訪れる人もおり、近い・早いといった門前の利便性以上に、鳥巣氏の丁寧な相談対応がメリットとして受け入れられ、着実に利用者を獲得している状況にあります。

 現在は、若い母親を中心に1日に5~6人ほどが相談にやってくるそうで、処方箋を持っていなくても入れる相談薬局として、地域での存在感を発揮しています。

 近年、核家族化の進展などにより育児に関することを教えてくれる人が身近にいない母親が増える状況に、「町の薬局・薬剤師がしっかりとフォローしていくことが大切」との思いを強調します。

 そのため鳥巣氏は、小児や保護者に対して医薬品に関する指導や助言を行う小児薬物療法認定薬剤師の資格も取得しており、薬の飲ませ方などの適切な服薬につながる情報発信に力を注いでいます。