老舗の地盤をもとに若い力とバイタリティで次世代の薬局経営を切り拓く

「マルノ薬局」鹿児島県鹿児島市/丸野桂太郎氏

若手薬剤師ならではの感性と確かな未来展望

さらに丸野氏は県内の若手薬剤師が情報交換やスキルアップを図る交流会の立ち上げに参画し、次世代を担う薬剤師を盛り上げる働きかけにも力を注ぐなど、目の前の業務に留まらない旺盛な意欲と行動力に満ちています。「最近は多い時で70人ほどが集い、先輩を講師に招いて勉強会をしたり、互いの悩みを共有し合ったり。他職種連携の話ともかかわりますが、若手同士が早くから刺激し合う場は非常に有意義と感じます」。SNSなどの普及もあって若手薬剤師の交流は各地で活発化しつつあるといい、そこでは「これまでと同じままでは駄目だという危機感が強い」と、若手世代なりの職能感覚も指摘します。

「20代の薬剤師が40代のベテランになる時、単なる調剤業務では簡単に機器やテクニシャンのような存在に置き換えられているのではないか、という感覚は若手だからこそ身近で、また逆にICTを活用したり地域へ積極的に出ていくことで『もっとできるのではないか』という思いも大きい。医薬分業も成熟化していますし、高齢社会に求められる地域の健康情報拠点としての方向性で先達が築いた職能を広げていくことが私たちの世代の役割だと考えています」。

3代目を継いで2015年で4年目。「自分は薬局に育てられたので、父の分まで業界や地域に恩返しをしたいといった思いもあります。今は先代までに作られた地盤に立っているだけで、本来ここから新たに同じようなスタートを切ろうと思ってもできません。OTC医薬品の相談販売も10年ほどのキャリアが必要でしょうし、父を超える日はまだまだ遠いですね」との覚悟も覗かせながら、丸野氏は老舗の先に確かな未来を見据えています。

(取材実施:2014年12月)
編集:薬局新聞社