老舗の地盤をもとに若い力とバイタリティで次世代の薬局経営を切り拓く

「マルノ薬局」鹿児島県鹿児島市/丸野桂太郎氏

身近な相談薬局の延長線上で「もっと地域へ」

特に桜ヶ丘店の周辺は市内で最も古い団地群で、住民の高齢化が顕著という状況も相談薬局に軸足を置く経営姿勢に繋がっています。「うちのような古い薬局は地域密着の要素が強いので、日常的な健康管理から医療や介護の入口として機能しやすい。高齢社会を背景に今後もっと地域にどんどん打って出ていけるはずなのです」。

こうした思いから、近年は患者宅や高齢者施設での訪問業務へも乗り出し始めました。今のところ施設2件と患家3件と、まだまだ採算面も含めてこれからと言いますが、取組みを通じて丸野氏は「薬局は高齢社会に国が進める地域包括ケアシステムの中核にもなれる素質を十分持っていると信じています」との実感を強調します。

そもそも在宅医療や介護分野に強い関心を持っていた丸野氏は、家業の薬局に入ると同時に九州大学大学院へ入学。業務と並行しながら2年間、医療経営管理学講座で薬局・薬剤師における在宅医療を学んだバイタリティ溢れる経歴の持ち主でもあります。「勉強は若いうちにしかできませんから。また、薬局に勤務していると薬剤師としての意識も活動も閉鎖的になりがちで、そうした状況が在宅などの地域におけるチーム医療に踏み出すハードルを高くしている原因の一つになっていると思います。大学で医師や看護師をはじめ様々な職種や世代の方々と学びながら交流し、幅広い視点やネットワークを得たことも自分の取組みを支える財産になっていますね」。