老舗の歴史を通じた地域密着経営

「アツミ薬局」静岡県浜松市/渥美洋平氏

本音で向き合うことがコミュニケーションの基本

改装に際して洋平氏は雑貨や日用品などを思い切ってカットし、店先に駐車場を確保するとともに、カウンター脇と調剤の待合いに2カ所の相談スペースを設置しました。様々な研修会で相談販売ノウハウを学び、4代目の新たな柱となる試みとして、生活習慣病や膝痛などが気になる方を対象にダイエット相談を実践。老若男女を問わず多くの人からの信頼をつかんでいます。時代に乗って調剤を広げるのではなく、むしろ相談応需の体制を強化しています。

地域で幅広く相談を受けつける業務は、ある意味では調剤を主体とした薬局以上の緊張感があると洋平氏。接遇の技術を磨くためにさまざまな研修会などにトライしたものの、「以前は薬剤師の職能に気負いがありましたが、最近は『背伸びせずに自分ができる範囲で目の前の人に全力を尽くせばいい』と自然体で取り組めるようになりました。もちろん知識や技術も大切ですが、心のあり方として無理をするとお客さま・患者さんに説得力を出せませんし、専門家であっても本音で向き合うことがコミュニケーションで最も大切だと感じています」と強調します。

遠方から定期的に足を運んでくれる“4代目のお客さま・患者さん”も増えてきたと言います。「おかげさまで『今風の青年じゃなく朴訥とした人柄や話し方が好きで通っている』と、自分を指名して来ていただけるのは本当にありがたいですね」など、健康相談に限らず臨床や在宅医療、高齢社会の地域医療に取組む上で今後、薬局薬剤師も医療人としての個性や人間性が重要となることを実感させるエピソードと言えそうです。