TOPICS

2021年3月スタート「オンライン資格確認」

―押さえておきたい現場のメリットと今後の展望―

薬剤師トレンドBOX#24

topics

コロナ禍で加速した医療におけるデジタル化。2020年は薬局でもオンライン服薬指導などが推進されました。
2021年3月から始動する「オンライン資格確認」は、中でも政府が医療の今後に想定する「データヘルス」の基盤と掲げる重要な仕組みです。
ポイントを押さえるとともに、患者さんと医療従事者にとってのメリットと今後の展望をご紹介します。

システムの概要とポイント

オンライン資格確認とは、マイナンバーカードの「ICチップ」の読み取りや健康保険証の「記号番号」の入力などにより、保険資格をはじめとする患者さんのさまざまな情報をオンラインでリアルタイムに確認できる仕組みです。
具体的な情報としては、社会保険診療報酬支払基金(支払基金)・国民保険中央会(国保中央会)から提供される「保険情報」「保険の有効期限」「薬剤情報」「特定検診情報」「限度額適用額証に関する情報」などがあげられます。

マイナンバーカードの場合「顔認証付きカードリーダー」の利用が可能となります。保険証がなくてもマイナンバーカードで医療機関を受診できるだけでなく、医療の質向上の観点から次のようなメリットが見込まれています。

メリット1情報共有の推進による医療の質向上

オンライン資格確認の主なメリットとしてまず、情報共有が進むことによる医療の質向上があげられます。
システムを導入した医療機関では、2021年3月から保険に関する資格と特定検診に関する情報、同年10月からレセプトベースでの「薬剤情報」の閲覧が可能になる見込みです。

患者さんの同意を得た上で、特定検診情報は過去5年、薬剤情報は過去3年にさかのぼり確認することができます。特定検診情報は病院や歯科医院といった医療機関で閲覧可能で、「薬剤情報」はこうした医療機関に加え薬局でも閲覧が可能となります。

医師や歯科医師は、特定検診の結果や薬剤情報に基づいた診察ができることとなり、処方をはじめとする治療方針の決定に、これまでより正確で多くの情報が貢献すると見込まれています。

薬局でも「薬剤情報」に基づいた服薬指導が可能となります。レセプトベースのため多少のタイムラグはありますが、過去の薬剤情報がわかることは、複数の診療科や医療機関からの重複投薬の回避、他科処方の相互作用の確認といった薬物治療の質向上に役立つでしょう。

メリット2効率化による現場の負担軽減

オンライン資格確認による主なメリットの2つ目は、事務作業の簡略化等を通じた医療現場の負担軽減です。

資格過誤によるレセプト返戻等の処理削減

オンライン資格確認が導入されると、保険に関する医療機関への確認や返戻レセプトの処理といった薬局現場の業務が削減されます。保険資格が医療機関と共有されており、リアルタイムで確認でき、確認の手間や資格過誤が減るためです。

薬局だけでなく医療機関でも受付時点で資格確認ができ、保険確認の手間や返戻レセプトの処理を減らすことができます。従来、効率化とコスト削減が必要とされてきたレセプトをチェックする審査支払機関にとっても大きなメリットといえます。

レセプト返戻

出典:厚生労働省資料「健康保険証の資格確認が オンラインで可能となります」(2021/1/13閲覧)

入力作業の負担軽減

従来の受付業務では、健康保険証を受け取り、保険証記号番号、氏名、生年月日、住所等をシステムに入力する必要がありました。オンライン資格確認は、マイナンバーカードでは最新の保険資格情報を自動的にシステムに取り込むことができます。保険証でも、最小限の入力は必要ですが、有効であれば同様に情報を取り込むことができます。転居や転職などにより保険が変わった場合なども作業の負担が少なく済みます。

「一括照会」で来院・来局前に情報確認が可能

オンライン資格確認では、一括照会の機能で来院や来局の予定の患者さんに対して、前もって保険資格が有効か、保険情報が変わっていないか把握できます。保険資格が資格喪失等により無効であれば来院・来局された際の受付で資格確認を行うことになります。

限度額適用認定証等の連携

これまで限度額適用認定証等は必要の際、加入者(患者さん)が保険者へ申請を行わなければ発行されませんでした。オンライン資格確認を導入することで、保険者へ申請しなくても限度額情報を取得でき、加入者は限度額以上の医療費を窓口で支払う必要がなくなります。

導入にかかる補助制度と普及率

政府は2021年3月までに全医療機関の6割程度で、マイナンバーカードのICチップを読み取る顔認証付きカードリーダーの導入を目指しています。
また、医療機関の経営に新型コロナの影響が及ぶ中、できるだけ早期に導入が進むよう「令和3年3月までに顔認証付きカードリーダーの申込を行った医療機関・薬局」に定額補助を行うこととしています。

普及率は、現在、オンライン資格確認に必要なポータルサイト登録は薬局で約50%、カードリーダーの購入補助申込件数は約35%です(2020年12月時点)。なお病院での申込件数は約30%、医科診療所、歯科診療所で約10%となっています。

医療のデジタル化が目指す未来「データヘルス」

政府は、オンライン資格確認を「データヘルスの基盤」としています。現在、日本には特定検診等の情報だけでなく、医療や健康に関するさまざまなデータベースが存在しています。これらを個人の生活に紐づけて一元化し、最適化して活用しようとする取組みがデータヘルスといえます。

オンライン資格確認では、今後閲覧できる情報が拡大し、令和4年夏をめどに手術、移植、透析、医療機関名などが追加される予定です。

また、同様に令和4年夏、オンライン資格確認システム等を基盤とし、電子処方箋の仕組みが構築予定です。紙の処方箋は、一気通貫で実施されるオンライン医療に向けた最後の課題で、電子処方箋の仕組みによりこの課題が解決することになります。

オンライン資格確認の「薬剤情報」はレセプトベースで、情報にタイムラグがありますが、電子処方箋の仕組みはリアルタイムでの共有を可能とし、重複投薬の回避などがいっそう推進されるでしょう。

参考出典:
厚生労働省資料「健康保険証の資格確認がオンラインで可能となります」(2021/1/13閲覧)
カードリーダーの申込み状況(2021/1/13閲覧)

(2021年2月掲載)
編集:学校法人 医学アカデミー

トップページ