TOPICS

ヘルスケアや介護予防・リハビリ的観点からも注目!

薬局が仕掛けるノルディック・ウォークの可能性

薬剤師トレンドBOX#11

topics

 最近、公園などで両手にポールを持って歩く人の姿を見かけるようになっています。これは世界的に愛好者を増やしている『ノルディック・ウォーク』と呼ばれるもので、その名称と見た目のとおり、北欧のクロスカントリー選手が雪のない夏場に行っていたトレーニングを発展させたエクササイズです。

 散歩やウォーキングは手軽な運動・レクリエーションとして親しまれていますが、2本のポールを使って歩くノルディック・ウォークは、通常の歩行に加えて上半身を使った運動も促します。また、足とポールの4足歩行によって足腰の負担を軽減し、安定した正しい姿勢で無理なくウォーキングを楽しめることが支持を集める理由です。

 歩くことは健康的な生活の基本。身体機能の衰えたお年寄りなどでも安定感のある歩行運動が行えるというメリットは、ヘルスケアや介護予防・リハビリといった方面での応用も注目されており、薬局が地域の健康サポート提案に働きかける有効な手段として取り入れる動きが芽生えています。

 「身近で効果的な全身運動を提案することができ、地域の方々との距離を縮める上で多くの可能性を感じています」と語るのは、大阪府豊中市で4薬局を運営するグリーンメディック代表の多田耕三氏。日常的な健康維持に寄与する薬局の役割を印象づける目的で2016年夏、地域の住民と患者を対象にノルディック・ウォークイベントを行ったところ、非常に好評を博したことで確かな手応えを掴んでいます。「最初は数人ほど来てもらえればいいと思っていましたが、薬局内の告知だけで20人近くも集まり、こうした運動イベントに地域の薬局が取り組む意義を確信し、定期的な企画化を進めています」。

 イベントに際しては2名の医療事務スタッフが全日本ノルディック・ウォーク連盟の公認指導員資格を取得し、参加者に正しいウォーキングの指導を行うとともに、心拍数の測定や身体の状態などについてのアンケートを実施。運動による成果の具体化にも取り組んでおり、日本薬剤師会学術大会(2016年・名古屋大会)で『普段のウォーキングと比べて下半身への負担が軽減し、歩行が楽に行われた』『全身運動で消費カロリーはアップするが、両足にかかる負担は逆に軽減でき、長距離の歩行が可能になる』『ポールを使用することで自然と上半身の筋肉が動き、全身の血液循環が良くなることで首から肩にかけての凝りも軽減されることがわかった』――など、参加者の実感に基づくノルディック・ウォークの興味深い有用性を報告しています。

 もともとグリーンメディックでは調剤に偏った薬局の位置付けからのシフトを意識し、制度化以前から検体測定サービスに乗り出すなど、独自の素材開発によるサプリメント事業、オーガニック製品の取扱いなどを通じて日常的な健康支援や予防提案にも力を入れてきました。特に近年は処方元の整形外科や呼吸器内科との密接な連携に基づき、ヘルスケアの観点でスポーツ分野における機能の発揮領域を模索しており、多田氏は「リハビリや高齢者の介護予防にも活かすことができるノルディック・ウォークを入り口として、運動を通じたヘルスケア支援に貢献する新しい薬局機能を探りたい」と語っています。

 また、これら意欲的な経営方針の背景として多田氏は「イベントに参加された全ての方に喜んで頂き、『あんな楽しそうな患者さんの顔を薬局で見たことがない』と気づけたことが最大の収穫でした」とも強調します。

 健康に不安や問題を抱えている人や治療中の患者の対応を中心とする薬局は、基本的にはマイナスの状態からプラスに引き上げることが業務での目標となります。「運動を楽しむイベントはスタッフも含めて準備の段階から皆が笑顔になり、プラスの状態で前向きに取り組めることは単純にすごいこと。さらに地域・患者さんとの距離感が一気に縮められる意味で、かかりつけ化や健康サポート薬局の方向性にも自信を得ています」と多田氏。年齢を問わず安定した歩行が楽しめ、健康増進にもつながるノルディック・ウォークは、今後求められる理想的な薬局経営に向けた歩みへも着実に結びつきつつあるようです。

(2016年12月掲載)
編集:薬局新聞社

トップページ