門前立地でかかりつけ薬局の存在感を打ち出すベテラン薬剤師!

「スズキ薬局」広島県広島市/鈴木荘司氏

いわゆる調剤薬局銀座と呼ばれる大型病院門前でお馴染みの光景。平成16年から完全分業にある広島市北部・可部地区の広島市立安佐市民病院前の生活道路も“処方せん”の文字があちこちに踊る状況にありますが、その一角に構えるスズキ薬局の場合、大手門前薬局と互角に渡り合う処方せん応需が経営の大部分を占めながら、OTC薬や衛生関連用品などを豊富に取り扱い、地域の薬局で唯一、休診日の土曜日にも店を開ける佇まいが目を引きます。

「病気や怪我に休日なんてありませんし、なるべく薬を揃えて『開いている』というだけで安心感を与える存在であることも薬局の機能でしょう」。 69歳の今なお現役の薬剤師として店頭、そして調剤室に立つ経営者の鈴木荘司氏はそう語ります。開業から20年後に病院の分業が始まり、ピーク時には実に数10m圏内に6薬局がしのぎを削る激戦地と化しましたが、「うちは他に商店すら無かった頃からやっていますから。これでも以前よりも随分と落ち着きました」と淡々と語る口調に、他に先駆けて地域に密着した頑なな経営姿勢で実績を積み重ねてきた自信がうかがえます。

そもそもスズキ薬局は可部地区に明治から100年以上続く老舗。鈴木氏の代になって地域でも最初に保険調剤に取組み、また長らく薬剤師会の分業担当役員として県の分業を牽引しながら薬局機能・薬剤師職能を切り拓いてきた先駆的存在です。つまり、処方せん応需は後から加わってきた取組みであり、一般的なドラッグストアにも引けをとらない充分なOTC薬や衛生用品の取扱いを続けていることは、鈴木氏にとって自然な薬局の姿というわけです。